続いて、指数関数の近似について考えます。[br]といっても、やることは三角関数のときとほぼ同じです。[br][br]指数関数 [math]y=e^x[/math] の1次までのマクローリン展開による近似 [math]y=1+x[/math] を、[br][math]|x|\ll 1[/math] において [math]e^x=1+x[/math] であることを利用して置き換えます。[br][math]\frac{1}{n}[/math] 倍によって [math]e^{\frac{x}{n}[/math] が取れるので、[br]元に戻すために [math]n[/math] 乗します。[br]描く関数は [math]y= \Bigl(1+\frac{x}{n}\Bigr)^n[/math] となりますが、[br][math]x=1[/math] のときに [math]n\to\infty[/math] の極限を取った値が、[br]まさしくネイピア数 [math]e[/math] の定義式 [math]e=\lim_{n\to\infty}\Bigl( 1+\frac{1}{n}\Bigr)^n[/math] です。
三角関数のときと同じ比較図です。[br][math]n[/math] と [math]m[/math] は等価な値ではないので注意してください。[br][br]この近似は多項式による近似であることには変わりないのですが、級数(マクローリン展開)による近似と違うのは言わば計算の手間の少なさであり、[br]縮小比を2倍し(リンク長の調整等のみで可能)、2乗する回数を一つ増やすだけで、最高次の次数を2倍にすることができます。[br][br]実は、2つの近似は組み合わせることが可能で、縮小拡大近似の括弧の中をより次数の高いマクローリン展開の近似に置き換えることで、2つの近似の両方の長所が反映されたより精度の高い近似となります。