[b][size=150]このワークシートは[url=https://www.geogebra.org/m/twxxx3yq]Math by Code[/url]の一部です。[br][/size][/b][br]前回までは、[br]図形の部品である[b]位相を入れた位相空間について調べました。[br][br][/b]2つの図形X,Yの間に連続写像f、f[sup]-1[/sup]があって、[br]fが全単射のときにXとYは[b]位相同型、同相[/b][br]といいます。[br]主な記号では[b]≅が同型、≈が同相[/b]です。[br]しかし、≅記号で代用することもあります。[br][br]コーヒーカップ≈ドーナツ[br]リンゴ≈立方体[br][br]など、枚挙にいとまがないですね。[br][br]同相は[b]ゴム膜の幾何学としてのトポロジー[/b]としてよく見かけますね。[br]今回は、位相空間での[b]経路(path)[/b]たちの関係性を探りましょう。
[b][size=150]<ホモトピー>[/size][/b][br]位相空間Xの上で、アリさんが移動します。[br][br]経路は0秒後の位置がA,[br]1秒後の位置がB、[br]tが0と1の間だとt秒後の位置はAとBの途中です。[br][br]アリさんの経路は[br][b][color=#0000ff]p0(0)=A,[br]p0(1)=B,[br]p0(t)=AとBの途中、[br][/color][/b]とかけます。[br][br]これを集合的にかくと、[color=#0000ff][b]写像p0:[0,1] → X、[0,1]∍t →Xの点[/b][/color][br]とかけるので、「[b]経路は写像だ[/b]」ということがわかるね。[br][br]逆経路なら、p0[sup][b]-1[/b][/sup]:[0,1]→Xとなります。[br]これは、ただ、p0の動きを逆向きにたどったものです。[br][br]別の経路なら、別の写像p1:[0,1]→Xをつくります。[br][br][b]2つの写真をモーフィング[/b]するように、[br]2つの[b]経路の連続変形F[/b]を考えてみよう。[br][br]位相空間X上にすべての経路が写真のように残っていて、[br]p0からp1に経路を変形するのに1秒かかった[br][br]としてみよう。[br][br][b]Fによる変形前 F(0,0)=A, F(t,0)=p0(t), F(1,0)=B[br]Fによる変更途中 F(0,s)=A, F(t,s)=ps(t), F(1,s)=B[br]Fによる変更後 F(0,1)=A, F(t,1)=p1(t), F(1,1)=B[br][/b][br]このような連続変形を[b]ホモトピー(homotopy)[/b]といいます。[br][br]複数の経路a,bにホモトピーがあるとき、[br]aとbはホモトピックといい、a~bとかきます。[br][br]ホモトピックは同値関係(自、反射、推移)だね。これは証明不要でしょう。[br][br]集合的にかくと[color=#0000ff][b]連続変形(ホモトピー)Fも写像です。[br]F:[0,1]×[0,1]→X 、 (t,s)→Xの点 (t,sともに[0,1]にある)[/b][/color][br][br][color=#9900ff][b][u][size=150]質問:ホモトピーを視覚化するコードをgeogebraで作るにはどうしたらよいでしょうか。[br][/size][/u][/b][/color][br]グラフに縦線x=0からx=8をひきます。[br]つぎに、3次関数などのy=1/20x(x-2)(x-4)(x-7)などをかきます。[br]縦線の1つひとつと3次曲線の交点をツールなどを使ってもとめます。[br]同じようにして、2次曲線y=ーx[sup]2[/sup]+9.2xなどをかきます。[br]こうすると、x=0のときと、x=8のときの交点が一致する2つの曲線になります。[br]やはり、曲線をたて線の交点をツールなどを使って求めます。[br]交点をリストにして、ポリライン、折れ線化します。これがp0、p1になります。[br]psは、リストの同じ番号の点のy座標に対してs:(1-s)に分ける内分点のリストを作ります。[br]そのリストを引いて、またポリラインを作れば、それがpsです。[br]sをスライダーにしてアニメーション化すると、ホモトピーの変形を連続的にみることができますね。
[b][size=150]<経路の連結>[/size][/b][br]経路aの終点と経路bの始点が同じならば、[br]2つの経路は[b]連結、連接でき、a・bとかきます[/b]。[br]動かない経路をeとすると、[br]a・a[sup]-1[/sup]=e[br](a・b)・(b[sup]-1[/sup]・a[sup]-1[/sup])=eだから、[br](a・b)[sup]-1[/sup]=b[sup]-1[/sup]・a[sup]-1[/sup]が言えます。[br]群で必要な結合法則[br]x・(y・z)=(z・y)・zも成り立ちます。[br][br][b][size=150]<ループなら基本群>[/size][/b][br][b]AからAにもどる経路をループといいます。[br][/b]ループの連続変形Fの途中ループはF(t,s)=ps(t)ですが、[br]アリさんはスタートt=0でもゴールt=1でもAにいますから、[br]変形s秒後でもF(0,s)=F(1,s)=A(sは[0,1]にある)となります。[br][size=150][br][color=#0000ff]領域XでAを基点とするループの集合W(X;A)を[/color][/size][color=#0000ff][br][size=150][size=200][b]ホモトピック同値類~で割った剰余群[/b]W(X;A)/~を[b]π1(X;A)[/b]とかいて[br][b]基本群(ポアンカレ群、1ホモトピー群など)[size=100]といいます。[/size][br][/b][/size][/size][/color][br]まあ、[b][color=#0000ff]要するに[br][br][size=200]ゆっくり引っ張って変形して同じになるループは同じ要素にする[br][/size][/color][/b][br]ということだね。[br]これは、整数を3で割った余りで、余りが同じ同値類、剰余類に分類したときと同じ感覚だね。[br]だから、どれを[b]剰余類、同値類の代表元にするかはたいした問題[/b]ではない。[br][br]結局は、敷地Xに[color=#0000ff]穴とかポールなどの不連続にするものがなければ[/color]どのループも[br]リールコードのように基点Aにおさまる。このとき敷地、領域Xを[b]単連結[/b]という。[br][br]もしも敷地Xにポール{p}が邪魔をしているとすると、[br]反時計回りにn回転、-n回転、0回転の3タイプのループが可能になるね。[br]だから、[b]π1(X-{p}; A)≅Z[/b]となるね。[br][br][b]巻きつける方向と回数で、ループの同値類は整数nに対応[/b]しているので、[br][b]連接によって加算と同じ[/b]効果がある。[br]加算は可換だから、この基本群は[b]可換群[/b]になるね。[br][br]もしも、2つの領域X,Yが位相同型ならば、2つの基本群[b]π1(X;O)とπ1(Y;O')[/b]も同型になる。[br]回転数をただたし算しているだけだし、基点をずらしても、整数nに対応すれば同型になる。[br]ループの曲線の数式なんて問題にしてないからね。[br][br]とてもアバウトな世界だね。
[b][size=150]<トーラスの基本群>[/size][/b][br]トーラスはドーナツ型、[br]レジャープールで見かける浮き輪のことだね。[br][br]トーラス上のループは何種類あるだろうか。[br]・AからAに途中のじゃまがなくてもどるループは単位元eと同じだ。[br]・Aから穴に落ちないように穴のふちを1周して戻るループuもある。[br]・Aから穴に向かって、トーラスを輪切りにするループvもある。[br]だから、同じ種類のループの回数を独立して増やせるので、[br]トーラス上のループ群、基本群は、u[sup]n[/sup]v[sup]m[/sup]というZ[sup]2[/sup]と同型な群になるね。[br][br][b][size=150]<トーラスの展開図>[br][/size][/b]つぎに、ループu,vに向きをつけて考えてみよう。[br]尾根を上からみて時計回りに進むループがuだとする。[br]トーラスの外の赤道付近から北に向かって進み穴を通って赤道付近にもどるループをvとしよう。[br]2つのループの交点をAとする。[br]トーラス面をループvで切ってループuが直線になるように変形すると、[br]トーラス面は円柱の側面の形になるね。Aは2つの円周にあり、uの両端にある。[br]次にループuに沿って切って広げると長方形になる。[br]このとき、Aは2つの円周ループvが直線AAになり、ループuも2直線AAになる。[br]ということは、展開図の長方形はAAAAとなるね。
[b][size=150]<トーラス世界1周旅行>[br][/size][/b]トーラス面上を1周旅行してみよう。[br]たとえば、[br]展開図の左下かどのAから右にu動く。[br]次は右下かどのAから上にv動く。[br]次は右上かどのAから左にu-1動く。[br]最後に左上かどのAから下にv-1動く。[br]これで、2つのループを渡り歩いてトーラス世界1周旅行ができたね。[br][br]ということは、右から順にループを実行する表示にすると[br][b][size=150][color=#0000ff]v[sup]-1[/sup]u[sup]-1[/sup]vu=e[/color][/size][/b]となる。[br]この式に左からv、uを順にかけると、[br][b][size=150][color=#0000ff]vu=uv[/color][/size][/b]となるから、これはuvで交換法則が成り立つことを表してもいるね。[br]だから、トーラスの基本群は可換だということだね。[br]