体の仲間をふやそう

1.群と環の仲間の増やし方
[b][size=150]このワークシートは[url=https://www.geogebra.org/m/twxxx3yq]Math by Code[/url]の一部です。[br][/size][/b][br]同じ要素に+と×があり、+は群で×はモノイドになる集合が環だった。[br]そして、[b][color=#0000ff]環の×算で、非ゼロなら単元じゃなくてもどれでも逆元があるものが体[/color][/b]だったね。[br][br]つまり、+も×も可換群で分配法則が成り立つものだという言い方もできる。[br](例)有理数体Q、実数体R、複素数体C[br](例)Fp=(Z/(p),+,×) 素数pを法とする剰余類の体[br](例)Zp=(Z, +(mod p) ,×(mod p)) 素数pに対する剰余計算をする整数全体[br]体はK(Körper), F(Fields)などの頭文字K,Fを使ったりします。[br][br]図形は点の集合だ。[br]群、環、体は何かの集合だ。[br][br]図形を切ったりつけたりしても同じ仲間でいられることがある。[br]たとえば、長方形はたてに切り分けても長方形のままで、それを横に切り分けても長方形のままで、。。[br]のように、仲間を増やしていける。[br]大きさをそろえて並べることで、大きな長方形が作れたりするね。[br]群、環、体でも、同じ大きさに着目して、切ったり、つないだりするイメージで仲間を増やせるだろう。[br][br][b][size=150]<群の仲間の増やし方>[br][/size][/b][br]群Gの仲間を増やすにはどうしたか思い出してみよう。[br][br]・[b]切り分ける増やし方[/b][br]自分自身と単位元のような自明なもの以外にも[b]部分群[/b]というものが作れることがあったね。[br][b]群の入れ子だ[/b]。[br]そして、部分群が正規なとき、(gN=Ngとなる群N、同じ型が分散せずに1つに入っている群N)とき、[b]G▷N[/b]と書き、Nを[b][color=#0000ff]正規部分群[/color][/b]と呼んだ。[br]たとえば、G={e, (1 2 3), (1 3 2), (1 2),(1 3),(1 2)}=S3のとき、(a b c)型が1つの収まる[br]N={e, (1 2 3),(1 3 2)}は位数も|G|=6の約数で、gN=Ngとなり、G/Nをすると、Nが加算の剰余0,残りT={(1 2),(1 3),(2 3)}が剰余1に対応する。G/NはZ2={0,1}、つまり、Z/2Zと同型になった。[br]つまり、GをNで割って、整数の割り算による剰余系と同じように、[b]剰余群、商群[/b]が作れたね。[br]一般に、GからHへの準同型写像fがあるとき、fの核KerfがNの役割になり、[b]G/Kerf とimfを同型に[/b]できた。[br]群によってはこの割り算による分解が連続できる複雑なしくみをもつものがあったね。[br][b]分解できるものは正規列[/b]が作れた。[br]Dn▷Cn▷1(二面体群、巡回群、単位群)[br] S3▷D3▷1(対称群、二面体群、単位群)[br] S4▷A4▷V4▷1(対称群、交代群、クラインの4元群、単位群)[br][br]一方で、[b]正規列がない単純な群[/b]があった。[br]5次の交代群(5次の対称群の半分)A5が単純群であることから、5次以上の[b]交代群Anも単純群[/b]であることが、数学的帰納法で証明できるということも学んだね。[br][br]・[b]くっつける増やし方[/b][br]群を成分のようにして、2つ並べる、[br]つまり、[b]群の直積[/b]というやり方でも新しく群が作れたね。[br]たとえば、x∈Z2とy∈Z3を並べた(x,y)は、(0,0)に1ずつたすと2×3=6回たして初めてもとにもどり、[br]巡回群C6と同型な群が作れた。[br]また、有限アーベル群の構造定理という便利なものがあったね。[br]今の直積とは逆に、位数に着目して、直積に分解できるというやつだった。[br][b]位数が素数pのべきの可換群は、巡回群の直積による群と同型[/b]になるというものだった。[br]たとえば、位数p4の可換群は次の5種類がありえた。[br]Cp[sup]4[/sup], Cp[sup]3[/sup]×Cp, Cp[sup]2[/sup]×Cp[sup]2[/sup],Cp[sup]2[/sup]×Cp×Cp,Cp×Cp×Cp×Cp[br][br]
[b][size=150]<環の仲間の増やし方>[/size][/b][br][b]・くっつける増やし方[/b][br][color=#0000ff]係数Kを使ったpの多項式の集合を[size=150]K[p][/size][/color]で表現した。[br][b]環Kにpを添付して拡大した環[/b]のことだったね。[br]R[√2]=a√2+b(a,b∈R)は環Zに√2を添付した環。[br]Z[[math]\sqrt[3]{2}[/math]]=a[math]\sqrt[3]{2}[/math] [sup]2[/sup]+b [math]\sqrt[3]{2}[/math] +c (a,b,c ∈Z)は環Zに [math]\sqrt[3]{2}[/math] を添付した環。[br]ガウス整数Z[i]は環Zにiを添付した環。[br]アイゼンシュタイン整数Z[ω]は環Zにωを添付した環だね。[br][br]環に要素pを追加することで、[b]線形空間(ベクトル)[/b]として要素をおく[b]次元[/b]、成分数が増えただけで、係数はもとの環のものが使えている。だから、群と群の直積と似ている。+算はまさに直積と同様。×算では、成分をまたがる計算も出てくるが、環のルールから外れることはない。[br]R={x+ [math]\sqrt[3]{2}[/math] y| x,y∈Z }は、一見2次元で成分が収まるように見えても、×算で、 [math]\sqrt[3]{2}[/math] の2乗の成分が必要になるから、次元が足りないので、環になれない。[br]このように環の添付拡大では、[b]線形空間の次元の発想[/b]も大切になったね。[br][br][b]・切り分ける増やし方[/b][br]環も群と同じように、割り算で環が増やせた。[br]群の正規部分群と同じように、[b]環の[color=#0000ff]イデアル[/color][/b]でわると[b]剰余環、商環[/b]ができた。[br]<Z[i]/(1+i),+,☓>={[0],[1]}も商環。ガウス格子点の2色ぬりわけ。[br]<Z[ω]/(1-ω),+,☓>={[-1],[0],[1]}も商環。アイゼンシュタイン格子点の3色ぬりわけ。[br]<Z[x]/(1+x[sup]2[/sup]),+,☓>= Z[i] も商環。整数係数の多項式がax+b (g(x)∈Z[x], a,b∈Z)に分類されたね。[br][br]わるのが[color=#0000ff][b]素元[/b]のイデアル[/color]で、環が[b]ユークリッド整域[/b]なら、環が体に格上げされた。[br]Z[x]はユークリッド整域で、x+1は素元だから、Z[X]/(x+1)は体。[br]Z[i]はユークリッド整域で、7は素元だから、Z[i]/(7)は体。[br]Z[ω]はユークリッド整域で、2は素元だから、Z[ω]/(2)は体。[br]Zはユークリッド整域で、3は素元だから、F3=Z/(3)は体。[br]
2.体の仲間の増やし方
[b][size=150]<体の入れ子>[br][/size][/b]体Lの部分集合Kが体であるとき、L/Kとかき、LがKの[b]拡大体[/b]、KがLの[b]部分体[/b]といいます。[br]L/Kが体の拡大なら、LはK上のベクトル空間とみることができてその次元d=[L:K]とかき、dをLのK上の拡大次数といいます。L/Kのd次拡大です。dが有限なら有限次拡大といい、dが無限大なら無限次拡大という。[br][br]3つの体K,M,Lがあり、L/M, M/Kのとき、サンドイッチの真ん中部分の[b]体MをL/Kの中間体[/b]といいます。[br]Mが2点L,Kの中点という感じの言葉遣いですね。[br]体の拡大[math]K\subset M\subset L[/math] に対して、拡大次数[L:K]=[L:M]×[M:K]が成り立つ。[br][color=#0000ff](例)[/color][br][math]\mathbb{C}[/math]/[math]\mathbb{R}[/math], [math]\mathbb{R}[/math]/[math]\mathbb{Q}[/math] だから、[math]\mathbb{R}[/math]は[math]\mathbb{C}[/math]/[math]\mathbb{Q}[/math] の中間体です。[br][br][b][size=150]<くっつける増やし方>[br][/size]・要素の添付による拡大[/b][br]有理数体[math]\mathbb{Q}[/math] にそれに属さない要素√2を添付した体を[math]\mathbb{Q}[/math] (√2)とかく。[br]2つのイメージがあるでしょう。[br][math]\mathbb{Q}[/math]の要素と要素√2の和・差・積・商どれをやっても収まる体。[br][math]\mathbb{Q}[/math]の拡大で√2も含む最小の体。[br][br]でも、結果的には環の拡大と同様な記法、係数[math]\mathbb{Q}[/math]を使った[b]√2の多項式の集合[/b][math]\mathbb{Q}[/math] [√2]と同じです。[br]添付する要素が1つの拡大を[b]単純拡大[/b]という。[br][br][color=#0000ff](例)[br][/color]K= [math]\mathbb{Q}[/math] (√2)=[math]\mathbb{Q}[/math] [√2]={a+b√2 | a,b∈Q}は体。[br]Kが環であることは省略。[br]×算のイチ元は1=1+0√2∈K[br]x=a+b√2≠0∈Kに対して[br]逆元x-1=は1/(a+b√2)=(a-b√2)/(a[sup]2[/sup]-2b[sup]2[/sup])=a/(a[sup]2[/sup]-2b[sup]2[/sup]) +(-b/(a[sup]2[/sup]-2b[sup]2[/sup]))√2より、[br]√2の多項式とみたときの係数は∈Qだから、x-1∈Kになる。[br][color=#0000ff](例)[/color][br]F= [math]\mathbb{Q}[/math] (i)=[math]\mathbb{Q}[/math] [i]={a+bi | a,b∈Q}は体。[br]Fが環であることは省略。[br]x算のイチ元は1=1+0i∈F[br]x=a+bi≠0∈Fのとき。(つまり、a=b=0ではない。)[br]xの逆元x-1=1/a+bi=(a-bi)/(a[sup]2[/sup]+b[sup]2[/sup])=a/(a[sup]2[/sup]+b[sup]2[/sup])+(-b/(a[sup]2[/sup]+b[sup]2[/sup]))i∈Fになる。
[b][size=150]<多項式に連動する増やし方>[br]L/Kが体の有限次拡大でa∈Lとする。[br][/size][/b]f(x)∈K[x]で、f(a)=0となるものがあれば[b]aはK上代数的、短く言うと、[color=#0000ff]K代数[/color][br]([/b]ないならaはK上超越的、K超越という。)[br]・aがK代数で、f(x)がモニックなとき、[br] f(x)はg(a)=0を満たす0でないg(x)∈K[x]の中で最小次数の多項式で、[b][color=#0000ff]最小多項式[/color][/b]という。[br] 言い換えると、[b]f(x)はK上既約、短く言うと、[color=#0000ff]K既約[/color][/b]だ。[br] また、g(a)=0となるg(x)∈K[x]はf(x)の倍数とも言える。[br]・aがK代数なら[color=#0000ff][b]K[a]=K(a)[/b][/color]だ。[b][color=#0000ff]最小多項式f(x)の次数がd(=degf(x))[/color][/b]ならば、dはaのK上の次数で、[br] K[a]はK上のベクトル空間としてd次元である。拡大次数[b][color=#0000ff][K(a):K]=d[/color][/b]。[br]・Lのすべての元xがK代数ならL/Kを[b]代数拡大[/b]といい、それ以外を[b]超越拡大[/b]という。[br][color=#0000ff]・[/color][b]L/Kが有限次拡大なら代数拡大[/b][color=#0000ff]。[br][/color][b]・特に、aがK代数なら単純拡大K(a)=K[a]は代数拡大。[br]つまり、K代数なaをKに添付すれば、K(a)のどの元xもK代数、つまり、代数拡大ができる。[br][/b][color=#0000ff](例)[/color][br]a=[b]√2[/b]∉Qが、Q[x]の多項式で、f(a)=a[sup]2[/sup]-2=0となるものがある。f(x)=x[sup]2[/sup]-2が[b]Q上既約、最小多項式[/b]で2次。[br]aはQ上の代数方程式の解だから、[b]aはQ上代数的[/b]。[br]だから、単純拡大Q(√2)=Q[√2]は代数拡大、[Q(√2):Q]=2で、Q(√2)={a+b√2 | a,b∈Q}。[br]代数拡大ということは、Q(√2)のどの元x=a+b√2もf(x)=0の解となるQ上の方程式があることになる。[br][color=#0000ff](例)[/color][br]b=[b]i[/b]∉Qが、Q[x]の多項式で、f(b)=b[sup]2[/sup]+1=0となるものがある。f(x)=x[sup]2[/sup]+1がQ上既約、最小多項式で2次。[br]bはQ上の代数方程式の解だから、bはQ上代数的。[Q(i):Q]=2で、Q(i)={a+bi | a,b∈Q}[br]c=[b]π[/b]∉Qは、Q[x]の多項式で、f(c)=0となるものがない。cは[b]Q上超越的[/b]。[br][color=#0000ff](例)[/color][br]a=[b]√2+√3[/b]のQ上の最小多項式f(x)を求める。[br]f(x)はQ上既約で、g(a)=0となるg(x)の因数でもある。(a-√2)[sup]2[/sup]=3だから、a[sup]2[/sup]-2√2a=1。[br]a[sup]2[/sup]-1=2√2aとして、両辺2乗する。a[sup]4[/sup]-2a[sup]2[/sup]+1=8a[sup]2[/sup]。aは[b]f(x)=x[sup]4[/sup]-10x[sup]2[/sup]+1[/b]の解。[br]f(x)を1次×3次、2次×2次と因数分解できたと仮定して係数比較しても整合性のある因数はないことが[br]確認される(計算略)。だから、f(x)は[b]Q上既約で、最小多項式[/b]だね。[br]f(x)の次数は4だから、拡大次数[Q(√2+√3):Q]=4だね。[br]Q(a)=Q[a]={p+qa+ra[sup]2[/sup]+sa[sup]3[/sup]|p,q,r,s∈Q}[br][color=#0000ff](例)[/color][br]a=[math]\sqrt[3]{2}[/math] のQ上の最小多項式f(x)を求める。[br]f(x)が既約になればよい。a[sup]3[/sup]=2だから、f(x)=x[sup]3[/sup]-2。f(x)が1次×2次と分解できるとして、-2の約数をf(x)[br]に入れても0にならない。だから、Q上既約。f(x)の次数は3次だから、拡大次数[Q(a):Q]=3だね。[br]Q(a)=Q[a]={p+qa+ra[sup]2[/sup]|p,q,r∈Q}
[b][size=150]<切り分ける増やし方がくっつける増やし方になる>[br][/size][/b][br]・写像f:環V→環W; x →f(y) とするとき、[br] f(x+y)=f(x)+f(y), f(x×y)=f(x)×f(y),f(イチv)=イチw[br] が成り立つとき、fは準同型写像といったね。[br]・環と同じように、体Kの積、和、イチを保存すれば、準同型写像といい、全単射なら同型写像といい、[br] K自身への写像なら[color=#0000ff][b]体Kの自己同型写像[/b][/color]といい、[b][color=#0000ff]AutK[/color][/b]と書いたりする。[br]・aのK上の最小多項式f(x)で、K[x]を割った商環はK(a)と同型になる。これを[b]商体[/b]という。[br] [size=200][size=150][color=#0000ff][b]K[x]/f(x)[/b][/color][math]\cong[/math][color=#0000ff][b]K(a)[/b][/color][/size][/size][br] ユークリッド整域Zを素元pで割った商環が剰余系の体Fpと同型な商体になったことに類似しているね。[br][b] つまり、要素をくっつけて作る拡大体が、最小多項式で割った[color=#0000ff]商体[/color]とぴったり重なるということだね。[br][/b][color=#0000ff](例)[/color][br]p=[math]\sqrt[3]{2}[/math]のとき、体の同型写像h:Q[X]/(x[sup]3[/sup]-2) ->Q[[math]\sqrt[3]{2}[/math]] ; ax[sup]2[/sup]+bx+c→a[math]\sqrt[3]{2}[/math] [sup]2[/sup]+ b[math]\sqrt[3]{2}[/math] +c[br]p=√2のとき、体の同型写像h:Q[X]/(x[sup]2[/sup]-2) ->Q[√2] ; ax+b→a√2+b[br]p=i のとき、体の同型写像h:R[X]/(x[sup]2[/sup]+1) ->R[i] ; ax+b→a i +b ([b][color=#0000ff]複素数体と同型![/color][/b])[br][br]まあ、x[sup]2[/sup]+1の商環を考えるということは、核で割ると同等なので、x[sup]2[/sup]+1=0で割ると同じ働きになっているいうことだね。[br][br][color=#9900ff][u][b][size=150]質問:体の同型写像の見える化をコードでやるにはどうしたらよいでしょうか。[br][/size][/b][/u][/color][br]最小多項式f(x)の次元をdとすると、[br]係数体Kに対する多項式環K[X]/f(x)の商体の拡大次元もdになります。[br]だから、xのd次曲線h(x)で視覚化できます。[br]また、最小多項式=0の解をpとすると、h(p)の値がK[p]の要素として数値化できます。[br]だから、h(x)の係数を変化させることで、連動性が生まれるでしょう。
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