曲面5(代数方程式で彫刻する)

このページは[url=https://www.geogebra.org/m/ddm5798j]マス旅[/url]の一部です。[br][br]今回は「陰関数曲面と位相変化」がテーマです。
1. 数学外の知識
[br]粘土を削って立体を作るとき、私たちは「外側から形を切り出す」作業をします。[br]しかし、水や油の中に溶け合う[b]特殊な液体(メタボール)[/b]をイメージしてみてください。[br]2つの油滴が近づくと、互いにひっぱり合って滑らかに融合し、[br]1つのひょうたん型や球体になります。[br][br][b]コンピュータグラフィックス(CG)や3D医療画像(CTスキャン)[/b]では、[br]こうした「滑らかな塊の融合」や「断面から立体を構築する技術」に、[br][b]マーチングキューブス(Marching Cubes)[/b]というアルゴリズムが使われています。[br][br]これら身近な現象や技術は数学の陰関数曲面とつながっています。[br]どういうことでしょうか。
2. 数学の支援
[br][b][size=150]<陰関数表示は3D等高線>[br][/size][/b][br]陰関数表示とは、曲面上の点 (x, y, z) が満たす条件を次のような1つの等式で表したものです。[br][b][color=#0000ff][size=200][br]f(x, y, z) = c[br][/size][/color][/b][br]つまり、y=2x+3のように変数を両辺に分離して「外に取り出して(陽に)かく」のではなく、[br]変数たちをy-2x=3のように片方の辺にまとめることで特定の変数の「出っ張りをなくして(陰に)」かくのです。[br]だから、[b]「陰」関数表示[/b]といいます。[br][br]また、「[b]パラメータ表示[/b]」との意味の違いもあります。[br]パラメータ表示は、2つの変数 u, v を使って Surface(x(u,v), y(u,v), z(u,v)) のように定義します。[br]これは[br][b]「2次元の平らなシート (u, v) を、[br]3次元空間の中で折り曲げてなぞっている」[br][/b]という意味になります。[br][br]では、「[b]陰関数表示f(x,y,z)=c[/b]」はどういう「[b]意味[/b]」になるでしょう。[br][br][b]空間内の温度がfで定まり、その値がc[/b]だとしましょう。[br]cが変数ならば4次元空間になりますが、cが定数ならば[br][b][color=#0000ff][size=150]「温度一定cになる等高線(等高面)」[/size][/color][/b]という意味にとれますね。[br][br]つまり、[br]「[b][color=#0000ff][size=200]空間全体に定義された関数 f の3D等高線[/size][/color][/b]」[br][br]として「曲面」をとらえるということになるね。[br][br]これこそが、CGやCTで使われるマーチングキューブスの仕組みそのものです。[br][br]たとえば、[br]地球の表面に浮いている大気の温度分布を[br]衛星からのいろんなデータ解析によって、推定できたとしよう。[br][b]温度cごとに、温度の等高面(つまり、等温面)[/b]ができるはずだ。[br][br]だから、温度cを少し変化させるだけで、離れていた等温面同士が突然くびれて繋がり、[br]穴が開いたり消えたりする[br][b]「位相(トポロジー)の劇的な変化」[/b]が起こることは、十分ありうるのです。[br][br][br]3D等高線は物理的な観測データがなくてもかけます。[br][br]それは、代数方程式の利用です。[br][b]代数方程式でできる、代表的な「代数曲面」[/b]を紹介しましょう。[br][br][b][size=150]<カッシーニの卵形体>[br][/size][/b][br]前に「曲線3(曲面輪切りコレクション)」でもやりましたね。[br]トーラス(浮き輪、ドーナツ)を切断面を端から連続変化させると、[br][br][color=#0000ff][b][size=150]楕円→楕円が大きくなる→ひょうたん→∞マーク(レムニスケート)→2つの卵[/size][/b][br][/color][br]へと分裂します。この卵を追いかけると、卵の曲面(4次曲面)がでますね。[br][br]トーラスが3次元空間にある図形なのになぜ4次曲面というと、[br]トーラス自体の方程式の次数が4次だからです。[br][b](x^2 + y^2 + z^2 + R^2 - r^2)^2 - 4R^2(x^2 + y^2) = 0[br][/b][br][b][size=150]<クムマー曲面>[br][/size][/b][br]4次の代数曲面の一種で、空間内に「最大16個の尖った点(円錐特異点)」を持つことができる非常に特殊で美しい曲面です。[br]正四面体の対称性を持たせると、[br][br][b][color=#0000ff][size=150]x^4+y^4+z^4-(y^2 z^2 + z^2 x^2 + x^2 y^2)-(x^2 + y^2 + z^2)+1=0 [br][/size][/color][/b][br]や、パラメータ λ, μ を用いた[br][br][color=#0000ff][b][size=150](x^2+y^2+z^2-μ^2)^2- λ(1-z-√2 x)(1-z+√2 x)(1+z-√2y)(1+z+√2y)[br][/size][/b][/color][br]のような対称性のある方程式にすることができます。[br][br]4次方程式なので、複素射影空間P^3 の同次方程式を使えば式自体に[br]もっと対称性のある綺麗なものになりますね。[br][br][br][b][size=150]<クレブシュの3次曲面>[br][/size][/b][br]3次の代数曲面(三次曲面)には、「必ず実サイズで27本の直線が含まれる」という驚くべき性質があります。[br]クレブシュの曲面はその最も対称性の高い美しい例です。[br]仮面舞踏会のベネチアンマスク、ファントムマスクを3つ繋いだような幻想的な形です。[br][br]同次座標(射影空間P^3)では[br][br][b][color=#0000ff][size=150]x^3+y^3+z^3+w^3=(x+y+z+w)^3[br][/size][/color][/b][br]という単純でキレイな式ですが、3D空間に描画できません。[br]そこで、アフィン空間(R^3)に写すと、数学者のHuntが見つけた次のような大迫力の方程式になります。[br][br][b][color=#0000ff][size=150]81(x^3+y^3+z^3)-189(x^2 y + x^2 z + y^2 x+ y^2 z + z^2 x + z^2 y ) + 54xyz +126(xy+yz+zx)-9(x^2+y^2+z^2)-9(x+y+z)+1=0 [br][/size][/color][/b][br]
3. コード化(GeoGebra)
#要素の追加>geogebra>作成>空間図形[br]#「数式ビュー」に数式を1行ずつコピペします。[br][br]4次、3次の陰関数式はエラーは出ませんが、すべて、xy平面上の曲線になるか、解なしで無反応になります。そこで、美しい曲線には式の対称性があることを逆手にとります。[br][br]★タイトル「現代アート?」[br][br]# パラメータk アニメーション(プレイボタンをオン)にすると曲面が躍ります。[br]k = Slider(0.1, 10.0, 0.05)[br]# 同次だが非対称の係数にする。[br]p:x+y+k z=k[br]eq1:x^2+k y^2+z^2-k^2 (k x+y+z-1)^2=k[br][br]これだけの設定で、ダイナミックに非対称ではあるけど、同次曲面だから、4次曲面・3次曲面の香りがしますよ。[br][br][b][size=150]<振り返り>[br][/size][/b][br]陰関数 f(x, y, z) = c は、空間全体に密度の場を敷き詰め、[br]c を定めることで特定の「切断面(等高面)」を取り出せる装置だ[br][br]とわかります。[br]高次の方程式を直接描くのが難しくても、パラメータ k や交線を利用することで、[br]陰関数が持つ「[color=#0000ff][b]空間を切り出して、条件にあう形状だけを浮き立たせる彫刻マシーン[/b][/color]」[br]としての魅力を十分に実感できますね。
現代アート?
クンマー曲面
クラブシュの3次曲面

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