このページは[url=https://www.geogebra.org/m/ddm5798j]マス旅[/url]の一部です。[br][br]今回は「三角形にまつわる長さの最小値」をさぐってみよう。
物理では、「最小・最短」というのはとても大切なことだ。[br][br]たとえば、光は最短距離を進む。[br]図形でも最短・最小は大きなテーマになる。[br][br][b][color=#0000ff]1「2点を結ぶ最短距離と言えば、直線」というのはだれでも知っている。[br]2「点から線への最短距離は、垂線だ」ということも常識だ。[br][/color][/b][br]この2つを[b]「直線定理」[/b]と名付けてあげよう![br][br]また、高校数学では、[br]点(x0,y0)から法線ベクトルがn=(a,b)の直線ax+by+c=0への垂線の長さが|ax0+by0+c|/|n|というのも有名だ。[br][br][b][size=150]<パズル1>[br][/size][/b]「牛を川そばのA地点から出発して川で水をのませて、別のB地点に移動する経路がどうなるか?」[br][br]川岸を直線lとする。[br]水を飲むポイントをl上の点Cとする。[br]そうすると、このパズルはACBという折れ線の長さ、L=AC+CBを最小にするポイントCの決め方の問題になる。[br]そこで、Bをlについて線対称移動(鏡映)した点をB'とする。[br]今後、この鏡映は何回も使うだろうから、B'のような点を「点Bのl影」と呼ぶことにしよう。[br]大切なことは「線対称移動(鏡映)は合同変換である」こと。[br]Cを適当にとっても、いつもCB=CB'だから、L=AC+CB’となるね。[br]だから、[b]「直線定理」1番[/b]から折れ線ACB'を直線AB'にしたときにLが最小になる。[br]あとは、AB'とlの交点が求める水の飲みポイントCと決定できるね。[br]大切なことはもう一つある。[br]光は牛より速いけど、この牛の進行経路は光と同じだ。[br]直線lへの「[b]入射角と反射角が等しい[/b]」ということだ。[br]鏡映なのだから、2直線の交点が対頂角で等しいから、当たり前だけど、[br]結果を知っていると、いちいち作図しなくても、「[b]最短の証明[/b]」になるから便利なのだ。[br][br][b]<パズル2>[/b][br]「1辺が2の正方形がある。この正方形の対角線の交点を中心にして、正方形を回転するとき、[br]正方形の4辺が通過する領域の面積は?」[br][br]正方形をABCDとして、対角線の交点をOとする。対角線の長さは2√2になるので、[br]OA=2√2/2=√2。だから、Aの軌跡は半径OAの円周になる。[br]正方形の通らない部分がOの周りにできるね。[br]この領域を広げていくと、限界がある。辺ABの中点Mだ。[br]この点Mは点Oから辺ABへの垂線の足になるね。[br]今後、この作図は何回も使うだろうから、Mのような点を「[b]点OのAB足[/b]」と呼ぶことにしよう。[br]お気づきのように、これは「[b]直線定理」2番[/b]を使っていることになる。OM=1だ。[br]だから、正方形ABCDの辺の通過領域の面積はπ(√2)^2-π1^2=πとなるね。[br][br][b]<パズル3>[br][/b]「正三角形ABCの内部に点Pをとり、Pから各辺に下した垂線の長さの合計Lを最小にする点はどこか?[br][br]答えは三角形の内部ならば、Lは一定なので、どこでもよい。[br]理由は簡単。正三角形の1辺を2として、Pから各辺に下した垂線3本の長さをa,b,cとすると、[br]正三角形の面積は△PAB,△PBC,△PCAの3つの三角形の面積の合計になるので、[br]2a/2+2b/2+2c/2=a+b+c=2*√3/2=√3となる。点Pがつまり、L=√3で、一定になるから。[br]これを、「[b]ヴィヴィビアー二の定理[/b]」という。
[b][size=150]<内接三角形の周長最小の極小化>[/size][br][/b][br]「鋭角三角形ABCの辺BC,CA,AB上に点P,Q,Rをとり、[br]内部に作られる[b]△PQRの周長L=PQ + QR + RPを最小[/b]にするには、[br]点 P, Q, Rをどこにとればよいでしょうか?」[br][br][b]「シュワルツ教授の考え」[br][/b]ベルリン大学のシュワルツ教授は「[b]垂線と入射角=反射角と鏡映[/b]」から考えた。[br]シュワルツさんは三角形ABCのA,B,Cから対辺への足をP,Q,Rとした内接三角形PQRを[br]「垂足三角形」と名付けた。[br]「[b][color=#0000ff][size=150]垂足三角形でLが最小になること[/size][/color][/b]」を証明しました。[br][br][b]「証明」[br][/b]3点P,Q,Rは垂線の足で、垂心をHとすると、三角形ABCを四角形ARHQ,BPHR,CQHPに分けられるね。[br]それぞれに外接する円がかけて、HA,HB,HCが3つの円の直径になっている。[br]大切なのは「同じ弧に対する円周角が等しいこと」だ。[br]角ARQ=角AHQ(直径HAの円)、角BHP=角BRP(直径BHの円)。[br]Hで角AHQと角BHPは対頂角になっているから等しい。[br]つまり、角ARQ=角BRPだ。[br]これって、辺ABに対して折れ線QRPが、「[b]入射角=反射角[/b]」になるから最短経路になっているのことだ。[br]点Rの位置は垂線の足でしかなかったのに、最短の折り返し点と判明したのだね。[br]同様にして、[b]点P,点Qも[/b]それが言える。[br][br]今、[b][color=#0000ff]3垂線から「入射角=反射角」[/color][/b]が言えた。[br]さらに、厳密には[b]鏡映作図の6連発[/b]をすればよい。[br]三角形ABCを辺BC,CA,AB,BC,CA,ABで順に鏡映するのです。[br]2回裏返すと表向きに戻り、向きが回転するだけ。[br]初めの2回鏡映で頂点Cは動かず、点Cに角Cの2個分並ぶだけなので、角Cの2倍回転となる。[br]同じようにして、次の2回鏡映で角Bの2倍回転、最後の2回鏡映で角Aの2倍回転となる。[br]この6回回転で、角Cの2倍+角Bの2倍+角Aの2倍=(3つの角の合計)の2倍=180×2=360度回転。[br]だから、[b]ABへの足Rが6回鏡映後のRまで入射角と反射角が等しいことから、直線になる[/b]。[br]適当な内接三角形では、折れ線になってしまうことがわかる。[br][br][b][size=150]<学生フェイエールさんの考え>[/size][/b][br]ハンガリーの数学者フェイエールさんが学生のときに考えた方法が秀逸だ。[br][b](裏返して直線化で最短)[/b][br]フェイエールさんは1頂点Pを固定して考えた。[br]辺 BC上に点 Pを固定してみよう。そして、点Pを鏡映で裏返す。[br]点PのAB影をP_1、AC影をP_2とおこう。[br]鏡像の性質より、RP = RP_1、PQ = PP_2だから、[br]L= RP + PQ + QR = P_1R + RQ + QP_2[br]これは 点 P_1 から点 R, Qを経由して点P_2に至る折れ線の長さそのものだ![br]直線定理1から、この折れ線が最短になるのは、P_1, R, Q, P_2が一直線上に並ぶときだね。[br][b](垂線で最短)[br][/b]さらに、直線 P_1P_2の長さをさらに短くしたいと考えたのだ。[br]さあ、どうする?[br]鏡映は合同変換であることを思い出そう。[br]P_1, R, Q, P_2が一直線に並んだとき、二等辺三角形AP_1P_2に注目すると、AP_1 = AP = AP_2であり、[br]頂角P_1AP_2 = 2角A(一定)となる。[br]頂角一定の二等辺三角形とは、テントのテッペンの開き方が決まっているようなものだ。[br]テントを広くするにはテントの高さ、斜辺を長くするしかない。[br]つまり、底辺P_1P_2の長さを最小にするには、斜辺に等しい線分APの長さを最小にすればよいことになる。[br]直線定理2から、点Aから辺BCに下ろした線分APが最小になるのは。Aの辺BC足をPとすればよいね。[br][b](まとめ)[/b][br]点 P, Q, Rがそれぞれ頂点 A, B, Cから対辺への足(垂足)になるとき、周長は最小となることは[br]シュワルツさんのやり方では、決定できた。[br]しかし、フェイエールさんのやり方ではどうだろうか。[br]今は点Pを先に決めた。だったら、点 Q, Rを先に決めることもできるだろう。[br]Pを決めた結果のQ,Rと、Qを決めた結果のP,Rと、Rを決めた結果のP,Q。[br]この3つの三角形が実は1つになるということは、ここまでの記述では何もわからない。[br]これではフェイエールさんのやり方は決定打にならない気になりますね。[br]結局、3垂線を引かなければならないとしたら、シュワルツさんの勝ちになる。[br]そうではありません。[br]フェイエールさんの作図「[b][color=#0000ff][size=150]1垂線と2回鏡映」で、P,Q,Rが決定[/size][/color][/b]されるのです。[br][br][b]「証明」[/b][br]三角形ABCのAから辺BC足をPとする。PのAB裏をP_1,AC裏をP_2とする。[br]線分P‗1P_2とAB,ACとの交点をそれぞれ、R,Qとする。このときの内接三角形PQRが周囲最小となる。[br]なぜなら、鏡映であることから、三角形AP_1P_2は斜辺がAPに等しい二等辺三角形なので底角が等しい。[br]角AP_1R=角AP_2Q、鏡映であることから、角AP_1R=角APR、角AP_2Q=角APQ。[br]以上から、角APR=角APQ=xとする。、Pは垂線の足だから、角APB=角APCなので、残りの角BPR=角CPQ、これをx度とする。つまり、「[b]入射角=反射角[/b]」になっている。[br][br]次に、角APBが直角だから、鏡映の角PP_1Bも直角で、ABを直径とする四角形APBP_1の外接円がある。[br]同様にして、ACを直径とする四角形APCP_2の外接円がある。[br]円周角と鏡映に着目すると、[br]角BP_1P=角BAP=角BAP_1=角BPP_1=y度とする。[br]これから、△AP_1Bで、外角ARQ=x+y=角P_1RB。鏡映から、角P_1RB=角BRP。[br]したがって、角ARQ=角BRP。ここでも「[b]入射角=反射角[/b]」となる。[br]同様にして、点Qについても「[b]入射角=反射角[/b]」となるので、[br]垂線を1本しか引いてないのに、3垂線の効果があるということだ。[br][br][b]シュワルツさんの鏡映が6回に対して、フェイエールさんの鏡映は2回です。[br]シュワルツさんの垂線が3本に対して、フェイエールさんの垂線は1本です。[br][/b]べつに競争する必要はないですが、いかにエレガントかという話しです。
[b][size=150]<トリチェリの問題>[/size][/b][br][br]「最大角が120度未満の三角形ABCの内部に点Pをとり、[br][b]3頂点からの距離の和L=AP + BP + CPを最小にする点P(フェルマー点)[/b] はどこにある?」[br][br]フランスの数学者フェルマーがデカルトやトリチェリに尋ねたという有名な問題ですが、[br]次は、トリチェリさんがみつけたという証明です。[br][br][b]「証明1」[br][/b]三角形ABCの内部に点Pをとり、PA,PB,PCを結びます。[br]三角形APCをAを中心に60度反時計回りに回転してできる三角形AP'C'をかき、PP',CC'を結ぶ。[br]三角形APP'は回転角60度をはさむ2辺が等しいので正三角形です。AP=PP'[br]回転は合同変換なので、もちろん△APC≡△AP'C'だから、PC=P'C'。[br]だから、[b]L=AP+BP+CP=BP+PP'+P'C'[/b][br]最後の式は折れ線BPP'C'の長さですね。[br]直線定理1から、Lの最小値は線分BC'です。[br]では、どんなときに直線になるのでしょうか。[br]折れ線BPP'C'がPでまっすぐなので、角BPA+60=180となり、角BPA=120度です。[br]折れ線BPP'C'がP'でまっすぐなので、60+角AP'C'=60+角APC=180となり、角APC=120度です。[br]残った、角BPCはもちろん120度です。[br][br][b]「証明2」[/b][br]三角形ABCの内部に角APB=角BPC=角CPA=120度となる点Pをとります。[br]また、三角形ABCの内部に適当な点Qをとります。[br]三角形ABCに外接する正三角形で、A,B,CがPから3辺への垂線の足になるような三角形KLMを作ります。[br]360-90-90-120=60だから、角K,M,Kがすべて60度になる正三角形KLMがただ一つあります。[br]KLMからすると、A,B,Cが決まってしまえば、点Pは1つに決まります。[br][br]さて、QからLM,MK,KLへの足をA'、B',C'としましょう。[br][b]「ヴィヴィアー二の定理」[/b]からPからの3垂線の長さの和とQからの3垂線の長さの和は等しいので、[br]三角形KLMの中がPでもQでも同じことです。[br]つまり、[br]AP+BP+CP=A'Q+B'Q+C'Q[br]垂線は足までが最短なのでQA'≦QA、QB'≦QB,QC'≦QCとなるね。[br][br]これから、[b][color=#0000ff][size=150]AP+BP+CP=A'Q+B'Q+C'Q≦AQ+BQ+CQ[/size][/color][/b][br]つまり、適当にとったQからの和よりも、Pからの和が最小。[br][br]「証明3」[br]三角形ABCのそれぞれの辺を1辺とする正三角形ABD,BCE,CAFをかきます。[br]AEとCDの交点をPにしよう。[br]同じ弧に対する円周角は等しいので、角BPE=角CPE=角DPA=角DPB=60度です。[br]すると、角BPC=角BPA=120度なので、角APCも120度となり、フェルマー点です。[br]この証明のよいところは、フェルマー点の作図までできることです。[br]また、120度だけでなく、周長が最小であることもわかります。[br][b]円に内接する四角形BPCEで「トレミーの定理」[/b]を使うと、[br][b]PB×EC+BE×CP=BC×PE[/b]です。[br]三角形BCEは正三角形だから、EC=BE=BCですね。[br]だから、これを約すことで、[b]PB+CP=PD[/b]となります。[br]だから、[color=#0000ff][b][size=150]L=AP+BP+CP=AP+PD≧AD[/size][/b][/color][br]=になるのは、折れ線APDが直線のときです。[br]そのとき、角APB=角APC=180-60=120です。[br]トレミーの定理のおかげで、円が1個で十分だということもわかりました。[br]さらに、Lの長さがADになることもわかります。[br][br][u][b][size=150]課題:geogebraで三角形ABCの点を動かしてもフェルマー点が決定できるように作図しよう。[br][/size][/b][/u][br]タイトルは「連動するフェルマー点」[br]図形で選び三角形ABCを適当にかきます。[br]正多角形の作図のアイコンで、2点C,Bを選び点数3を入れることで、正三角形BCEをかきます。[br]同じように、のこりの2つの正三角形をかきます。[br]この2つの三角形は主役ではないので、segmentは点線で三角形も塗なしにしましょう。[br]SE,CDの交点をPとします。BFもPを通りますね。[br]円のコマンドで3点選択のものを選び、B,P,Cを指定します。[br]三角形BCEだけ青にします。[br]線分を追加します。[br]BP,CP,PEです。色を赤にして太くします。[br]”3点A,B,Cを動かすと\\フェルマー点が追従します。"[br]とテキストを貼り付けます。